これはげんじつてきなかんそう |
是は現実的な感想 |
冒頭文
始めて郊外に住んで、今年は、永く美しく夏から次第に移り行く秋の風景を目撃した。これまで、春から夏になる——初夏の自然は度々亢奮して活々感じたが、秋をこのように、落ちる木の葉の色、雨の音にまで沁々知ったのは初めての経験であった。 九品仏(くほんぶつ)その他、駒沢からこの辺にかけて、散歩するに気持よいところが沢山ある。名所ではないが、自然が起伏に富み、畑と樹林が程よく配合され眺めに変化がある
文字遣い
新字新仮名
初出
「ウーマンカレント」1927(昭和2)年2月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日