「のぶこ」について |
「伸子」について |
冒頭文
長篇「伸子」を書いたのは今から十年ばかり前のことで、完成までに三年位の時間がかかりました。『改造』へ一年に四度位の割で四五十枚から二百枚位まで時々載せてゆき、単行本にする時に全篇すっかり手を入れて大部ちぢめました。 当時はもう蔵原惟人の芸術論等が雑誌に出始めて居り、プロレタリア文学運動がそろそろ緒につきはじめていた頃でしたが、私は全くそういう方面には接触がなく、世田谷の駒沢の家で、毎日五
文字遣い
新字新仮名
初出
「長篇小説」1937(昭和12)年5月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日