ちゅうごくぶんかをちゃんとりかいしたい
中国文化をちゃんと理解したい

冒頭文

日本の文学者では、夏目漱石や鴎外などまでが、自身の文学的教養の中に中国文化のあるものを消化していたのだろうと思う。私たちの時代になると、伝統的な中国の文物については教養的に不足して来ているし、実際の生活感情からも遠くなって感情表現の手法としての影響もなく、「古い支那」に対して或るエキゾチシズムがのこされている程度である。新時代の中国の生活について最も多く知るべき筈でありながら、今日まだ十分知ってい

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1937(昭和12)年10月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日