お茶をいれている私のそばである友達が栗の皮をむきながら、 「あなた、染物屋の横にあるお風呂へよく行くの」 ときいた。 「行かないわ」 「ほんと? じゃどうしたんだろう、始終あすこで見かけるって云っていた人があってよ」 ふき出しながら、私は、 「お気の毒だわ、間違えられた人——」 と云った。 「こんな、ちょうろぎのようなの、やっぱりあるのかしら……」 それから程もな