みぶりならぬなぐさめを
身ぶりならぬ慰めを

冒頭文

『輝ク』の慰問号を拝見して感じたことの第一は、人を慰める、特に平常と異った事情にある前線の将士を真実に慰めるということは、実に、むずかしいということです。『輝ク』のこの号の共通な感情として、どっちかというと慰めるということの内容が少女小説的と云おうか、女の昔からの習慣的な或る身ごなしの面でだけとられている傾きがあります。ふだん其等の人々の書いていらっしゃる言葉づかいと、何かちがって受け身な言葉づか

文字遣い

新字新仮名

初出

「輝ク」1937(昭和12)年11月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日