いきてゆくすがたのかんめい |
生きてゆく姿の感銘 |
冒頭文
この小説の最後の一行を読み終って、さてと心にのこされたものをさぐって見ると、それは作者がカソリック精神で表現している「死の意味」への納得ではなくて、死というものをもこれだけに追究しとり組んで行く、人間の生きてゆく姿の感銘であるのは、非常に面白いところであると思われる。私たちの世代では、人間一人の生の意味の面からの追究でなければ、死にも触れなくなって来ているところも、フランスと日本の習慣の相異を超え
文字遣い
新字新仮名
初出
「東京堂月報」1939(昭和14)年11月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日