むらのさんだい
村の三代

冒頭文

三春富士と安達太郎山などの見えるところに昔大きい草地があった。そして、その草地で時々鎌戦さが行われた。あっち側からとこっち側からと草刈りに来る村人たちは大方領主がそれぞれちがっていて、地境にある草地の草を、どっちが先に刈るかというような争いから、丁髷を振り立てて鎌戦さになることがあったのだろう。 明治の政府になってから五年目に安場保和の建案を発端とし、大久保利通の内地の開発事業の一つの典

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本農業新聞」1941(昭和16)年1月1日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日