いのちのあるちえ
いのちのある智慧

冒頭文

人類の祖先たちは、彼らの原始的な生活のもとで、どんなふうに自分たちの発見と智慧とをもちいてきたのだろう。 太古の人類の希望は、幸福に生きたいという単一の強烈な欲求であった。それらの人々は、自分たちに一本の棒の切れはしを研究させ、その先をとがらせ、手にもちいいように小型のものとし、さらにそれにめどをつけて、からだにかぶる皮と皮とをつぎ合わせるに便利な道具に発展させてゆくそのあくことない興味

文字遣い

新字新仮名

初出

「女性改造」1947(昭和22)年1月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日