制限時間はすぎているのに、電車が来なくて有楽町の駅の群集は、刻々つまって来た。 「もうそろそろ運動はじめたかい」 人に押されて、ゆるく体をまわすようにしながら、蔵原さんが訊いた。 「これからだ」 江口さんは栃木県で立候補した。新しくなろうとして熱心な村の人々にとって、根気よい産婆役をしているのであった。 「しかしね、モラトリアムでいくらかいいかもしれないよ。——この間