おさないがじみでよい 「めばえるちから」たていわとしおさく
稚いが地味でよい 「芽生える力」立岩敏夫作

冒頭文

作者が添えた手紙でことわっている通り、まだ稚い作品ではあるけれどもリアリスティックな文学の筋の上に立っている。習作ではあるが『大衆クラブ』などにのせれば同感をもってよむひとは少くないだろうと思った。 作者の心持が稚くても、ふっくりとしていて、描かれている農村の生活の細目も自然にうけとれた。ただし、主人公の青年の父親が、農民の生活を不安にする現実から、段々民主的な働きに目を向けて来てやがて

文字遣い

新字新仮名

初出

「アカハタ」日本共産党中央機関紙、1948(昭和23)年6月9日号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日