よせんつうかさくひんせんひょう |
予選通過作品選評 |
冒頭文
「水中の町」 モチズキ ヨシ 全体メロドラマ的にあつかわれすぎている。ヤミ屋の親分、子分、水中の町の顔役、その結たくがたて糸となっていて町のあたりまえの人たちの水中生活の姿が浮び出ないしそこで赤旗をもっている人々の活動も添えものとしてあつかわれていて着実な町の生活とのつながりの現実の場面がわからない。情景のとらえかたは極めてメロドラマティックで、このごろの大衆小説の一部にあらわれているヤミや
文字遣い
新字新仮名
初出
「アカハタ」日本共産党中央機関紙、1948(昭和23)年6月13日号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日