さいげつ |
歳月 |
冒頭文
わたしたちの時代には、学校がそこにあった関係から、お茶の水と呼んでいた附属高女の専攻科の方が見えて、雑誌に何かかくようにと云われた。いまその原稿をかきはじめている、わたしの心持には複雑ないろいろの思いがある。そして、そういう思いは、わたしと同級生であった誰彼のひとたちが、もしその雑誌をよむとしたら、やっぱり同じように感じる思いではなかろうかと思う。なぜなら、随分久しい間、わたしは、自分が少女時代の
文字遣い
新字新仮名
初出
「お茶の水」第60号、お茶の水女子高等師範学校附属高等女学校校友会誌、1948(昭和23)年
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日