いきているこてん |
生きている古典 |
冒頭文
マルクス=エンゲルス全集というと、赤茶色クロース表紙の書籍が、私たちの目にある。この本のために、これまでの日本の読者は、どんなに愛情を経験し、また苦労をなめてきただろう。階級のある社会に生活をいとなんでいる以上、そのなかで働いて生活している者であるかぎり、文化の仕事をしていようと肉体の労働にしたがっている人々であろうと、いわば常識の底岩として、それぞれの理解力にしたがって生活知識のうちにうけいれら
文字遣い
新字新仮名
初出
「マルクス=エンゲルス選集」月報第1号、1949(昭和24)年11月30日発行
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日