「みぼうじんのしゅき」せんごひょう |
「未亡人の手記」選後評 |
冒頭文
一 わたしのところに十三篇の原稿がまわされてきた。一つ一つと読んでゆくうちに、ぼんやり一つの疑問がおこった。こういうものについて「選をする」というのは、どういう意味をもつのだろうかと。どの一つをとっても書いたひとの現実とそれに闘っている心がそこにむき出されている。戦争の底の知れないようなむごさと、それによって破壊された生活をなんとか生きてゆけるものにしようとしているひたむきな姿がある。たとえ
文字遣い
新字新仮名
初出
「婦人公論」1950(昭和25)年1~4月号
底本
- 宮本百合子全集 第十七巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年3月20日