けつろんをいそがないで
結論をいそがないで

冒頭文

シベリヤ生活の間でみたこと、聞いたこと、感じたことは、本当にさぞどっさりなことでしょう。それを書かずにいられない心持は十分分ります。それだのに「書けない」のは、どんな原因から来ているのでしょう。いろいろ感じることはたくさんあって書きたいのだけれども「書けない」でいるという人は、多数だろうと思います。そういう多数の人の心にある「書けない」問題にもふれて、みんなで考えてみるのも無駄であるまいと思います

文字遣い

新字新仮名

初出

「新日本文学」1950(昭和25)年7月号

底本

  • 宮本百合子全集 第十七巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年3月20日