じょ(『ちぶさ』) |
序(『乳房』) |
冒頭文
この一冊に集められている作品の中には、「一太と母」のように随分古く書かれたものもあり、本年の一月に発表した「雑沓」のようなものもある。旅行記は小説ではない訳であるが、私の作家としての生涯に、このような旅行記を書いた時代の生活は忘られないものであるし、同時に、今日では、五六年前に書かれた旅行記も却って或る味いをもって読まれるので、収録することになった。 「雑沓」はこれから二年ぐらいの間に完結し
文字遣い
新字新仮名
初出
「乳房」竹村書房、1937(昭和12)年2月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日