あとがき(『あすへのせいしん』) |
あとがき(『明日への精神』) |
冒頭文
今日の私たちの生活にとって、明日というものは、世界の歴史のなかで考え得る最も複雑な内容で予想されるものとなって来ている。きょうからあしたへのうつりが、ただ夜から朝へのうつりかわりだと感じているひとは、もう一人もいないだろうと思われる。明日をよく迎えたい心は、今日の生活を一層切実に愛し、そこから学べるだけのものを隈なくとって、明日へつづく自分たちの二度とはない生命を花咲かせたい願いをもたせる。
文字遣い
新字新仮名
初出
「明日への精神」実業之日本社、1940(昭和15)年9月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日