じょ(『ぶんがくのしんろ』)
序(『文学の進路』)

冒頭文

世界の歴史は大きく動いていて、日本の生活と文化文学も、この数年の間に示して来たうつりかわりを、これからは一層つよく広汎に現してゆくことだろうと考える。 日本文学は、それが世界史的な規模で観られ、また生まれてゆかなければならないことを益々明白にして来ている。刻々の裡に最善をつくして生きようとしている私たちの意欲の表現としての文学は、昨日の文学をよりひろい歴史的な視野において見直すとともに、

文字遣い

新字新仮名

初出

「文学の進路」高山書院、1941(昭和16)年1月

底本

  • 宮本百合子全集 第十八巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年5月30日