まえがき(『しんじつにいきたじょせいたち』)
まえがき(『真実に生きた女性たち』)

冒頭文

ここに、四人の婦人の物語がある。何年も前に書かれたこれらの物語をきょう、くりかえし読んでみて、深く深く心を動かされることは、人間社会の歴史は、何とたゆむことなく前進しているであろうか、ということである。そして、生活は、何と堂々たる偽り得ないものであろうか、ということである。四人の女性の一人一人の生きた姿は、歴史の鏡となって、私たちに偉大であった十九世紀と、更に経験によって聰明になろうとしている現世

文字遣い

新字新仮名

初出

「真実に生きた女性たち」創生社、1946(昭和21)年10月

底本

  • 宮本百合子全集 第十八巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年5月30日