あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいいっかん) |
あとがき(『宮本百合子選集』第一巻) |
冒頭文
「貧しき人々の群」は一九一六年、十八歳のときに書かれた。そして、その年の秋中央公論に発表された。 「貧しき人々の群」は、稚いけれども純朴な人道的なこころもちと、自然の豊富さ、人間生活への感動にたってかかれている。少女だったわたしは、日本の農村というものが、どんなに封建的な土地関係におかれており、また、どんなにその農業の方法がおくれているかということを知らなかった。農民生活のそれらの条件が、一方で
文字遣い
新字新仮名
初出
「宮本百合子選集 第一巻」安芸書房、1947(昭和22)年6月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日