さくしゃのことば(『まずしきひとびとのむれ』) |
作者の言葉(『貧しき人々の群』) |
冒頭文
「貧しき人々の群」は一九一六年、十八歳の秋に発表された。書きはじめたのは、一年ばかり前のことであった。福島県のある村に祖母が住んでいて、孫のわたしは五つぐらいのときからちょいちょいその東北の村で生活をした。少し大きい小学生となってからは、ひとりで夏休みじゅう、おばあさんのところで暮した。その村の年よりたち、牛や馬、犬、子供たち、ばかの乞食、気味のわるい半分乞食のようなばあさん、それらの人々の生活は
文字遣い
新字新仮名
初出
「貧しき人々の群」新興出版社、1947(昭和22)年6月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日