あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいさんかん) |
あとがき(『宮本百合子選集』第三巻) |
冒頭文
「美しき月夜」は一九一九年の夏アメリカのレーク・ジョウジという湖畔に暮したころに書かれた。この作品は、われわれの人生に災難という形であらわれる偶然の力につよく印象づけられたことがあって、それが題材にされた。それから数年後に書かれた「顔」も、またちがった意味で偶然が人生に与える影響ということについて深く動かされたためであった。南ドイツであったかある地方に毎年キリスト受難劇が行われる習慣があり、その年
文字遣い
新字新仮名
初出
「宮本百合子選集 第三巻」安芸書房、1947(昭和22)年10月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日