あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいよんかん) |
あとがき(『宮本百合子選集』第四巻) |
冒頭文
この一冊におさめられた八篇の小説は、それぞれに書かれた時期もちがい、それぞれにちがった時期の歴史をももっている。 「一本の花」は一九二七年の秋ごろ発表された。長篇「伸子」を書き終り、ソヴェト旅行に出かける前の中間の時期、いくつか書いた短篇のうち、これは一番長いものであった。過去三年あまりつづいて来た女ばかりの生活に微妙な単調さを感じる心が動きはじめていると同時に、自分の書く作品の世界にも、疑
文字遣い
新字新仮名
初出
「宮本百合子選集 第四巻」安芸書房、1948(昭和23)年1月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日