あとがき(『のぶこ』) |
あとがき(『伸子』) |
冒頭文
「伸子」は一九二四年から一九二六年の間に書かれた。そのころの日本にはもう初期の無産階級運動がおこっていたし、無産階級文学の運動もおこっていた。けれども作者は直接そういう波にふれる機会のない生活環境にあった。「伸子」には、日本のそういう中流的環境にある一人の若い女性が、女として人間として成長してゆきたいはげしい欲求をもって結婚し、やがて結婚と家庭生活の安定について常識とされている生活態度にうちかちが
文字遣い
新字新仮名
初出
「伸子」新潮文庫、新潮社、1949(昭和24)年2月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日