あとがき(『ふたつのにわ』) |
あとがき(『二つの庭』) |
冒頭文
「伸子」の続篇をかきたい希望は、久しい間作者の心のうちにたくわえられていた。 一九三〇年の暮にモスクヷから帰って、三一年のはじめプロレタリア文学運動に参加した当時の作者の心理は、自分にとって古典である「伸子」を、過去の作品としてうしろへきつく蹴り去ることで、それを一つの跳躍台として、より急速な、うしろをふりかえることない前進をめざす状態だった。 一九三二年の春から、うちつづく検挙と
文字遣い
新字新仮名
初出
「二つの庭」新潮文庫、新潮社、1949(昭和24)年7月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日