あとがき(『みやもとゆりこせんしゅう』だいじっかん) |
あとがき(『宮本百合子選集』第十巻) |
冒頭文
一九三〇年の暮にソヴェト同盟から帰って来て、翌年「ナップ」へ参加するまで、わたしは評論、紹介めいたものを書いたことがなかった。また、人の前に立って、文学についてそのほかの話をしたという経験もない。そして、それを自分の気質と思っていた。 ところが、この枠はまず思いがけない機会からモスクワで打ち破られ、段々わたしは自分の文学活動の範囲に、小説よりほかのものをうけ入れるようになって行った。わた
文字遣い
新字新仮名
初出
「宮本百合子選集 第十巻」安芸書房、1949(昭和24)年8月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日