ごがつのそら
五月の空

冒頭文

一九二二年五月 或午後、机に向って居ると、私の心に、突然、或諧調のある言葉が、感情につれて湧き上った。 丁度、或なおしものの小説を始めようかとして居、巧く運ばないので苦しかったので、うれしく其を書きしるした。 後、折々、そう云う現象が起る。 純粋に云って、詩と云うもののカテゴリーに入るか、如何(ど)うか、兎に角私にとっては、斯様な形式で書く唯一のものだ——私

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年5月30日

底本

  • 宮本百合子全集 第十八巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年5月30日