あきのよがたり
秋の夜がたり

冒頭文

中年のおとうさんと、おかあさんと、二十歳前後のむすこと、むすめの旅でありました。 旅が、旅程の丁度半分程の処で宿をとつたのですがその国の都と、都から百五十里も離れた田舎(いなか)との中間の或る湖畔の街の静(しずか)なホテルです。 その国と云ひましたが、さあ、日本か、外国か、今か、昔かと、それを作者はどう極(き)めませう。実は、日本でも外国でも、今でも昔でも関(かま)はないのです

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦女界」1933(昭和8)年11月

底本

  • 日本幻想文学集成10 岡本かの子
  • 国書刊行会
  • 1992(平成4)年1月23日