かいがらついほう 006 「やちよしゅう」をよむ |
貝殻追放 006 「八千代集」を読む |
冒頭文
岡田夫人から「八千代集」を頂いた。 ひと昔前の事、自分がまだ中學の時代に、如何(どう)いふ心持で讀んだのか忘れてしまつたが、小山内薫(をさないかをる)氏の「夢見草」と、小山内八千代さんの「門の草」といふ文集を、常に机の上に置く十數册の詩歌集と一緒に並べて持つてゐた。ヲサナイと呼ぶ事を知らずにコヤマウチだと思つてゐた。小山内氏兄妹が、泉鏡花先生の作品の愛讀者であり且研究者だといふ事を、ある
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「三田文學」1918(大正7)年5月号
底本
- 水上瀧太郎全集 九卷
- 岩波書店
- 1940(昭和15)年12月15日