ふじんさっかはなぜどうとくかか? そしてなぜおとこのびがえがけぬか?
婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?

冒頭文

父を殺している     ○ 作者は巧妙な(しかし)極めて平俗な理由で息子の父を母の生活から切りはなし、父と母との矛盾をこの作において避けている。母は息子との間に矛盾を感じるばかりでなく、現代にあっては多く父との間にも矛盾を感じている例が、特に中流インテリゲンツィアの中に多い。 父は社会的に支配階級の或る構成要素としての地位をしめ、母は息子との父よりひんぱんな日常的接触と、若い息子

文字遣い

新字新仮名

初出

「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房、1953(昭和28)年1月

底本

  • 宮本百合子全集 第十八巻
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年5月30日