せきぞくのおもいでばなし
石鏃の思出話

冒頭文

一 日本に於ける石器時代の遺物に關する、最も古い文獻上の所見が『續日本後記』に出てゐる仁明天皇の承和六年、出羽國田川郡海岸に現はれた石鏃の記事、次いでは『三代實録』や『文徳實録』にある石鏃である樣に、私自身の石器に關する一番昔しの思出もやはり石鏃である。思へば今から已に五十年にも近い前の事であるが、丁度私が七つ八つの頃、山形市の附屬小學校の二三年生であつたが、その時分子供等の間に、鑛物の

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「ドルメン」1935(昭和10)年6月

底本

  • 青陵随筆
  • 座右寶刊行會
  • 1947(昭和22)年11月20日