びょうちゅうき
病中記

冒頭文

大正八年十二月五日 晴 金曜 二、三日前から風心持であったが、前日は午前に気象と物理の講義があったから出勤した。午(ひる)過ぎから帰るつもりでいたが案外気分がいいし天気もいいから白木屋(しろきや)の俳画展覧会を見に行ったらもうすんでいた。それから丸善へ行って二冊ばかり教室へ届けさせるようにした。胃の工合があまりよくなかったが気分がいいので乗合自動車で銀座へ行った、そして例のように風月(ふうげ

文字遣い

新字新仮名

初出

1920(大正9)年1月

底本

  • 寺田寅彦全集 第三巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年2月5日