はなこ
花子

冒頭文

Auguste Rodin は為事場へ出て来た。 広い間一ぱいに朝日が差し込んでゐる。この Hôtel Biron といふのは、もと或る富豪の作つた、贅沢な建物であるが、つひ此間まで聖心派の尼寺になつていた。Faubourg Saint-Germain の娘子供を集めて Sacré-Coe&ur の尼達が、此間で讃美歌を歌はせてゐたのであらう。 巣の内の雛が親鳥の来るのを見附け

文字遣い

新字旧仮名

初出

「三田文学 第一卷第三號」1910(明治43)年7月1日

底本

  • 鴎外全集 第七巻
  • 岩波書店
  • 1972(昭和47)年5月22日