ゆめはんだん
夢判断

冒頭文

友人が妙な夢を見たと云って話して聞かせた。それは田舎の農家で泊った晩のことである。全身がしびれ、強直(こうちょく)して動けなくなったが、それが「電気のせい」だと思われた。白い手術着を着た助手らしい男がしきりにあちこち歩き廻ってそれを助けてくれようとするのだが、一向利目(ききめ)がないので困り果てたところで眼がさめたのだという。さめて見たら枕が無闇(むやみ)に固くて首筋が痺(しび)れていたそうである

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸春秋」1935(昭和10)年1月

底本

  • 寺田寅彦全集 第四巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年3月5日