「せいびしょう」について |
「青眉抄」について |
冒頭文
この秋(昭和十八年)文展と殆ど同時に関西美術展というのが開催された。 病気からすっかり丈夫にならないので、明治大正美術展も見られなかったし、このときも行かれず、残念に思った。新聞に代表的な作品の写真がのったなかに、上村松園の作品があり、その新鮮さ、たっぷりさに目のなかが涼しくなるようないい印象をうけた。夏の日に張りものをしている妻の絵で、はり板の横に腰をおとしてしゃがんでいる女の体のたっ
文字遣い
新字新仮名
初出
「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房、1953(昭和28)年1月
底本
- 宮本百合子全集 第十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年5月30日