はなをうめる
花をうめる

冒頭文

その遊びにどんな名がついているのか知らない。まだそんな遊びをいまの子どもたちがはたしてするのか、町を歩くとき私は注意してみるがこれまでみたためしがない。あのころつまり私たちがその遊びをしていた当時(とうじ)でさえ、他(た)の子どもたちはそういう遊びを知っていたかどうかもあやしい。いちおう私と同年輩(どうねんぱい)の人にたずねてみたいと思う。 なんだか私たちのあいだにだけあり、後にも先にも

文字遣い

新字新仮名

初出

「哈爾賓日日新聞」1939(昭和14)年10月15日~10月31日

底本

  • 花をうめる 新美南吉童話作品集5
  • てのり文庫、大日本図書
  • 1989(平成1)年4月26日