ばけいちょう
化銀杏

冒頭文

一 貸したる二階は二間にして六畳と四畳半、別に五畳余りの物置ありて、月一円の極(きわめ)なり。家主(やぬし)は下の中の間の六畳と、奥の五畳との二間に住居(すま)いて、店は八畳ばかり板の間になりおれども、商売家(あきないや)にあらざれば、昼も一枚蔀(しとみ)をおろして、ここは使わずに打捨てあり。 往来より突抜けて物置の後(うしろ)の園生(そのう)まで、土間の通庭(とおりにわ)にな

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸倶楽部」1896(明治29)年2月

底本

  • 泉鏡花集成2
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年4月24日