しぜんげんしょうのよほう
自然現象の予報

冒頭文

自然現象の科学的予報については、学者と世俗との間に意志の疎通を欠くため、往々に種々の物議を醸(かも)す事あり。また個々の場合における予報の可能の程度等に関しては、学者自身の間にも意見は必ずしも一定せざる事多し。左の一篇は、一般に予報の可能なるための条件や、その可能の範囲程度並びにその実用的価値の標準等につきて卑見を述べ、先覚者の示教を仰ぐと同時に、また一面には学者と世俗との間に存する誤解の溝渠(み

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代之科学」1916(大正5)年3月

底本

  • 寺田寅彦全集 第五巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年4月4日