ぶつりがくじっけんのきょうじゅについて
物理学実験の教授について

冒頭文

理化学の進歩が国運の発展に緊要であるという事は永い間一部の識者によって唱えられていたが、時機の熟せなかったため一向に世間には顧みられなかった。欧洲の大戦が爆発して以来は却って世間一般特に実業者の側で痛切にこの必要を感ずるようになったと見え、公私各種の理化学的研究所が続々設立されるようになった。それと同時に文部省でも特に中等教育における理化学教授に重きをおかれるようになって、単に教科書の講義を授くる

文字遣い

新字新仮名

初出

「理学界」1918(大正7)年6月

底本

  • 寺田寅彦全集 第五巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年4月4日