にじねこのはなし |
虹猫の話 |
冒頭文
いつの頃(ころ)か、あるところに一疋(ぴき)の猫(ねこ)がゐました。この猫はあたりまへの猫とはちがつた猫で、お伽(とぎ)の国から来たものでした。お伽の国の猫は毛色がまつたく別でした。まづその鼻の色は菫(すみれ)の色をしてゐます。それに目玉はあゐ、耳朶(みみたぶ)はうす青、前足はみどり、胴体は黄(きい)、うしろ足は橙色(オレンヂ)で、尾は赤です。ですから、ちやうど、虹(にじ)のやうに七色をしたふしぎ
文字遣い
新字旧仮名
初出
「赤い鳥」1927(昭和2)年1月
底本
- 日本児童文学大系 第一一巻 楠山正雄 沖野岩三郎 宮原晃一郎集
- ほるぷ出版
- 1978(昭和53)年11月30日