ふゆをむかえようとして
冬を迎へようとして

冒頭文

——(櫻田本郷町のHさんへ)—— 今日(けふ)はほんとうにお珍(めづら)しいおいでゝ、お歸(かへ)りになつてから「お前(まへ)は今日よつぽどどうかしてゐたね。」といはれましたほど、私(わたし)の調子(てうし)が狂(くる)ひました。ほんとうにあなたはめつたにお出(で)ましにならないので、私どものやうに引越(ひつこ)してばかりゐますと、ついあなたが御存(ごぞん)じない家(いへ)も出來(でき)てま

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「新潮」新潮社、1914(大正3)年12月号

底本

  • 新潮 1914(大正3)年12月号
  • 新潮社
  • 1914(大正3)年12月1日