ていそうのはばとげんかい
貞操の幅と限界

冒頭文

1 私はむかし十七の娘と友達になって、一緒にお酒をのんだり(娘はお酒が強かった)方々ホテルを泊り歩いたりしたが、そしてそれを言いだすのは多くは娘の方からであったが、私たちは肉体の交渉はなかったので、娘はいつもそれを激しく拒んだ。 これは然し遊びと貞操との限界という観念からではなかったので、娘は男女のそんな行為について全然知識がなかったのであり、愛情の肉体的な表現とはただ抱きすがり抱

文字遣い

新字新仮名

初出

「時事新報 第一九七三一号、一九七三二号」1947(昭和22)年5月1日、2日

底本

  • 坂口安吾全集 05
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年6月20日