ていそうはどうとくいじょうにそんきである
貞操は道徳以上に尊貴である

冒頭文

私は貞操を最も尊重し、貞操を最も確實堅固な基礎の上に据ゑたいために此一文を書きます。 今年は貞操と云ふことが問題になつて、女子の貞操ばかりでなく、男子の貞操と云ふやうなことまでが論ぜられるやうになりました。識者階級が斯う云ふ問題に眞面目な反省を取るに到つたことは勿論喜ばねばなりませんが、貞操を單に道徳として維持して行かうとすることの可否は容易に決定し難い宿題です。まだまだ之から討議を重ね

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「太陽」1915(大正4)年

底本

  • 定本 與謝野晶子全集 第十五卷 評論感想集二
  • 講談社
  • 1980(昭和55)年5月10日