さのだより |
佐野だより |
冒頭文
(二月十五日夜發) 昨夕俄かに「足尾鑛毒問題」解釋の重任を負ひぬ、工業國たるべき日本に於て斯かる疑問の何時までも氷解せざるを見て、余はかねてより我が國運の障碍と思ひければ、敢へて之を承諾したりしなり、 兎に角先づ今回の被害地人民出京紛擾の情况を一瞥せばやと思ひければ、吹上停車場より腕車を舘林に驅(か)ることゝはなしぬ、タマに出る子は風に逢ふとかや、我が指して行く日光、足尾の雪山颪は土沙を捲
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「毎日新聞」1900(明治33)年2月17日
底本
- 木下尚江著作集第1巻
- 明治文献
- 1972(昭和47)年2月10日