十八日發 樹蔭生 十六日夜は渡良瀬河畔に父老と語り明かしつ、明けの日も爲めにいたく時をうつしぬ、堤上の茂竹枯れて春は來ぬれど鶯も鳴かずなど訴ふるを聽て 鶯も鳴かずなりぬる里人は なにをしるしに春は知るらん 佐野の停車場に滊車を待ちぬるに山風に雪の降り來ぬれば 袖さへに拂はでむかし忍ぶかな 佐野のわたりの雪の夕暮 覺束な、明日入る路や絶へ