せとないかいのしおとちょうりゅう
瀬戸内海の潮と潮流

冒頭文

瀬戸内海はその景色の美しいために旅行者の目を喜ばせ、詩人や画家の好い題目になるばかりではありません。また色々な方面の学者の眼から見ても面白い研究の種になるような事柄が沢山(たくさん)あります。一体、あのような込み入った面白い地形がどうして出来たかという事は地質学者の議論の種になっているのです。また瀬戸内海の沿岸では一体に雨が少なかったり、また夏になると夕方風がすっかり凪(な)いでしまって大変に蒸暑

文字遣い

新字新仮名

初出

「ローマ字少年」1918(大正7)年5月1日

底本

  • 寺田寅彦全集 第六巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年5月6日