しょうせつさほうじっそく |
小説作法十則 |
冒頭文
一 小説はあらゆる文芸中、最も非芸術的なるものと心得べし。文芸中の文芸は詩あるのみ。即ち小説は小説中の詩により、文芸の中に列するに過ぎず。従つて歴史乃至伝記と実は少しも異る所なし。 二 小説家は詩人たる以外に歴史家乃至伝記作者なり。従つて人生(一時代に於ける一国の)と相亘(あひわた)らざるべからず。紫式部より井原西鶴に至る日本の小説家の作品はこの事実を証明すべし。 三 詩人は常に自己の衷心を何
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新潮 第二四年第九号」1927(昭和2)年9月1日
底本
- 芥川龍之介全集 第十六巻
- 岩波書店
- 1997(平成9)年2月10日