わがじんせいかん 08 (はち) あんごふうりゅうたん
我が人生観 08 (八)安吾風流譚

冒頭文

谷川岳で、又、人が死んだ。いろいろ人の死のニュースの中では、一抹清涼で、平和な生活を感じさせてくれる。 人間同士でひきおこす出来事は、祝儀不祝儀に拘らず、どことなく陰鬱なものである。人間臭というものは、何につけても身につまされるところがあって、暗い陰をまぬかれることができないものだ。しかし、相手が自然となると、人間も神様みたいなものである。 私は登山らしい登山は殆どやっていない

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第四八巻第一号」1951(昭和26)年1月1日

底本

  • 坂口安吾全集 09
  • 筑摩書房
  • 1998(平成10)年10月20日