せきゆランプ
石油ランプ

冒頭文

(この一篇を書いたのは八月の末であった。九月一日の朝、最後の筆を加えた後に、これを状袋に入れて、本誌に送るつもりで服のかくしに入れて外出した。途中であの地震に会って急いで帰ったので、とうとう出さずにしまっておいた。今取出して読んでみると、今度の震災の予感とでも云ったようなものが書いてある。それでわざとそのままに本誌にのせる事にした。) 生活上のある必要から、近い田舎の淋しい処に小さな隠(

文字遣い

新字新仮名

初出

「文化生活の基礎」1924(大正13)年1月

底本

  • 寺田寅彦全集 第七巻
  • 岩波書店
  • 1997(平成9)年6月5日