うまれて くる すずめたち |
うまれて 来る 雀達 |
冒頭文
その 雀は びつこでした。まだ やつと 飛べるやうに なつたばかりの 頃、いたづらな 少年に とらへられて 片足を ひもで 固く 縛られましたため か弱い 足は きづついて しまつたのでした。 その びつこの 雀が 麥畑の 黄く なる 頃 或る 家の 軒に 三つの 卵を うみました。 雀は うれしくて うれしくて、三つの 卵を 胸の 下に ぢつと だきしめて ゐました。 忙しい 蜜蜂が 飛ん
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「ひろった らっぱ」羽田書店、1950(昭和25)年5月1日
底本
- 校定 新美南吉全集第四巻
- 大日本図書
- 1980(昭和55)年9月30日